
Apple Foundation Models 2026 - Swift から Claude/Gemini も呼べるオンデバイスAI
ブラウザ内 AI(Chrome の組み込み AI)が進む一方で、Apple も「オンデバイス AI を Swift から素直に使う」路線を着実に深めています。WWDC 2026(2026年6月)で発表された Foundation Models フレームワークの更新は、地味ながら開発者に効く内容でした。
とくに驚きだったのが、Claude や Gemini を「同じ Swift API のまま差し替えで」呼べる統合です。この記事では、Apple 公式情報(WWDC26 セッション・Apple Intelligence ガイド)をもとに、2026年の新機能を整理します。
おさらい: オンデバイスとサーバーの2層
Foundation Models は、Apple のオンデバイス基盤モデルを Swift から使うフレームワークです。基本は LanguageModelSession にプロンプトを渡し、@Generable(guided generation、構造化出力)で型付き結果を得る、という形。2026年は2つの実行先が明確になりました。
| 実行先 | コンテキスト | 特徴 |
|---|---|---|
| オンデバイス | 8,192 トークン | 完全ローカル。論理・ツール呼び出しが向上。OCR/バーコード等の組み込みツール |
| Private Cloud Compute(PCC) | 32,000 トークン | サーバーモデル。推論(reasoning)対応・認証不要・プロンプトは保存されない |
PCC 側は PrivateCloudComputeLanguageModel として扱え、reasoningLevel(.light / .deep)で推論の深さを指定できます。API キーもアカウント設定も要らず、プロンプトは保存されない(独立研究者が検証可能)というプライバシー設計が Apple らしいところです。
新機能1: 画像入力(マルチモーダル)
オンデバイスモデルが画像添付に対応しました。UIImage / NSImage / CGImage などを Attachment として渡せます。
let response = try await session.respond {
"What animal is this?"
Attachment(UIImage(named: "photo")!)
}完全ローカルで画像つきの問い合わせができるので、写真の内容説明やラベル付けのような処理を端末内で完結させられます。
新機能2: Claude / Gemini を Swift から差し替えで呼ぶ
今回の目玉がこれです。新しい LanguageModel プロトコルにより、ローカルでもサーバーでも任意のモデルを LanguageModelSession のバックエンドにできるようになりました。Anthropic と Google が公式の Swift パッケージを出しており、差し替えるだけで下流のコードはそのまま動きます。
import AnthropicLanguageModel
let model = AnthropicLanguageModel(/* ... */)
let session = LanguageModelSession(model: model)
// 以降の respond { ... } 呼び出しはオンデバイス時と同じ認証は OAuth、トークンは Keychain 保管。使用量は response.usage から追跡できます。さらに、Neural Engine でローカル実行する CoreAILanguageModel や Mac GPU で動かす MLXLanguageModel のオープンソース実装も提供されます。
NOTE
「オンデバイス・Apple のサーバー・サードパーティ(Claude/Gemini)」を同じ呼び出しコードのまま切り替えられるのが効きます。プロトタイプはオンデバイスで作り、品質が要る箇所だけ Claude に差し替える——といった運用が、コードを書き換えずにできます。Vercel AI SDK のプロバイダ非依存と同じ発想を、Apple プラットフォームのネイティブ API で実現した形です。
新機能3: Dynamic Profiles でマルチエージェント
Dynamic Profiles は、1つのセッション内でコンテキスト・ツール・指示・モデルを宣言的に動的切替する仕組みです(LanguageModelSession.DynamicProfile)。モードを切り替えても会話履歴は保持され、分岐ごとに .model(...) や .reasoningLevel(.deep) を適用できます。
let session = LanguageModelSession(profile: CraftProfile())「下調べは軽量なオンデバイス、要約は PCC、最終生成は Claude」のように、1つのワークフローの中で役割ごとに実行先を変えるマルチエージェント的な構成が、1セッションで書けます。
無料で使える条件
コスト面で注目なのが無料アクセスです。App Store Small Business Program に登録し、累計の初回ダウンロード数が200万未満の開発者は、PCC 上の次世代 Foundation Models をクラウド API コスト無料で使えます。エンドユーザー側も毎日一定量アクセスでき、iCloud+ 加入者は上限が上がります。
WARNING
無料は「Small Business Program 登録かつ累計 DL 200万未満」という条件付きです。200万を超えた場合の課金体系は公式ガイドに明示がなく(要確認)、サードパーティモデル(Claude/Gemini)の利用料は各プロバイダの契約(OAuth で各社課金)に従います。「Apple 経由だから全部無料」ではない点に注意してください。
対応 OS と周辺
- 対応 OS: iOS 26.4 以降、iPadOS、macOS 27、watchOS 27(PCC 対応)、visionOS
- ツール:
fmCLI(macOS 27、fm chat)、Python SDK、評価用 Evaluations フレームワーク、Instruments 連携 - フレームワークのコアは2026年夏にオープンソース化予定(Linux サーバー上でも動作)
まとめ
- Apple Foundation Models 2026 は、オンデバイス(8,192トークン)と Private Cloud Compute(32,000トークン・推論対応・認証不要)の2層
- オンデバイスモデルが画像入力に対応(
AttachmentでUIImage等を渡す) - 新しい
LanguageModelプロトコルで、Claude / Gemini を公式 Swift パッケージから差し替えで呼べる(下流コードは不変) - Dynamic Profiles で、1セッション内にコンテキスト・ツール・モデルを動的切替するマルチエージェント構成
- 無料条件は「Small Business Program 登録かつ累計 DL 200万未満」。超過時の課金は要確認、サードパーティは各社課金
- 対応は iOS 26.4+ / macOS 27 など。コアは2026年夏にオープンソース化予定
「オンデバイス・Apple サーバー・Claude/Gemini」を同じ Swift コードのまま切り替えられるのが、今回いちばんの実用的進化です。プライバシー重視のローカルから、品質重視のクラウドまでを地続きで扱えるようになりました。