
ロゴデザインで私がこだわる3つのポイント - printemps tokyo ロゴの設計思想
先日、printemps tokyo のロゴを作成しました。
ロゴは企業やサービスの「顔」であり、最初に目に入るブランドの象徴です。 だからこそ、適当に作るのではなく、しっかりとした設計思想を持って取り組んでいます。
今回は、このロゴを例に、私がロゴデザインでこだわっている3つのポイントを紹介します。
1. 意味のあるモチーフを選ぶ
ツル(鶴)を選んだ理由
printemps tokyo のロゴには、鶴(ツル) をモチーフとして採用しました。
なぜ鶴なのか?
- 長寿と繁栄の象徴: 日本で古くから縁起の良い鳥として親しまれている
- 優雅な立ち姿: 長い首とすらりと伸びた足が、シャープでモダンな印象を与える
- 春との関連: "printemps"(フランス語で「春」)と、春の訪れを告げる渡り鳥としてのイメージが重なる
ロゴのモチーフは、「かっこいいから」「流行っているから」ではなく、ブランドのストーリーと結びついていることが重要です。
抽象化のバランス
具象的すぎると古臭く見え、抽象的すぎると何を表しているか分からなくなります。
このロゴでは、鶴の特徴を以下のように抽象化しました:
| 鶴の特徴 | ロゴでの表現 | 伝えたい意味 |
|---|---|---|
| 長い首と足 | 垂直のライン | 揺るぎない技術力と信頼性 |
| 背中・翼 | 上部の曲線 | 柔軟性とクライアントへの寄り添い |
| 目 | 円形のアクセント | 未来を見据える視点 |
一目で「何かの生き物っぽい」と分かりつつ、シンプルで現代的な印象を保っています。
2. 黄金比とフィボナッチ数列を活用する
美しさには理由がある
「なんとなく美しい」と感じるデザインには、たいてい数学的な裏付けがあります。
このロゴでは、フィボナッチ数列(1, 1, 2, 3, 5, 8, 13, 21, 34...)から導き出された数値を各パーツに適用しています。
メインカーブ(背中/翼)の半径: 34px
ストローク幅(線の太さ): 13px
目のサイズ(半径): 8px
なぜこの数字なのか?
- 34 : 13 ≈ 2.6 : 1 — 視認性を確保しつつ、野暮ったくならない絶妙なバランス
- 13 : 8 ≈ 1.625 : 1 — 黄金比(φ ≈ 1.618)に極めて近い比率
黄金比がもたらす効果
黄金比(Golden Ratio, φ ≈ 1.618)は、自然界に広く存在する比率で、人間が「美しい」と感じやすいと言われています。
- ひまわりの種の配列
- 巻き貝の渦
- パルテノン神殿のファサード
ロゴ全体のプロポーションや余白の取り方にも黄金比を意識することで、流行に左右されない普遍的な美しさを担保しています。
3. 色に意味を持たせる
ベースカラー: Dark Teal (#082830)
背景には深みのある青緑色を採用しました。
background-color: #082830;
この色を選んだ理由:
- 知性・信頼・冷静: テクノロジー企業らしいプロフェッショナルな印象
- 和の趣: 漆黒ではなく、わずかに青みを含ませることで、日本の伝統色「藍鉄(あいてつ)」や「鉄御納戸(てつおなんど)」のような雰囲気を演出
「和モダン × テック」というコンセプトを、色でも表現しています。
アクセントカラー: Graceful Gold (グラデーション)
鶴のモチーフには、単色ではなく光の当たり方を感じさせるグラデーションを使用しました。
/* SVG の linearGradient */
Start: #c5a059 /* 落ち着いた金 */
Mid: #ebd396 /* ハイライト・輝き */
End: #9e7e38 /* 深みのある金 */
ゴールドを選んだ理由:
- 豊かさ・品質の高さ: ブランドの価値を象徴
- 春の陽光: "printemps"(春)のイメージと重なる
- 視線誘導: ダークティールの背景上で最も美しく映え、自然と目が行く
実装: SVGで再現する
このロゴはSVG(Scalable Vector Graphics) で作成しています。
SVGを選んだ理由:
- 拡大しても劣化しない: 名刺からビルボードまで、あらゆるサイズで使える
- ファイルサイズが小さい: Webパフォーマンスに優しい
- コードで制御できる: 色やサイズをCSSやJavaScriptで動的に変更可能
コードの一部
<!-- 鶴のモチーフ部分 -->
<path
d="M 20,90 L 20,34 A 34,34 0 0 1 88,34 A 34,34 0 0 1 54,68 L 54,50"
fill="none"
stroke="url(#goldGradient)"
stroke-width="13"
stroke-linecap="round"
stroke-linejoin="round"
/>
<!-- 目の部分 -->
<circle cx="65" cy="34" r="8" fill="#ebd396" />
stroke-linecap="round" で線の端を丸くし、柔らかい印象を与えています。
タイポグラフィへのこだわり
フォント: Montserrat
ロゴタイプには Montserrat を採用しました。
Google Fonts の代表的なサンセリフ体で、幾何学的でありながら人間味のある温かさを感じさせます。
font-family: 'Montserrat', sans-serif;
font-weight: 400;
あえて太字(Bold)にせず、Regular を使用。ロゴマークの線の太さと調和させています。
文字間(レタースペーシング)
/* "printemps" */
letter-spacing: 0.05em; /* 自然な間隔 */
/* "tokyo" */
letter-spacing: 0.2em; /* 広めの間隔で高級感 */
"tokyo" の文字間を広く取ることで、抜け感と高級感を演出しています。
まとめ
ロゴデザインで私がこだわっている3つのポイント:
- 意味のあるモチーフを選ぶ — ブランドストーリーと結びついたモチーフを抽象化
- 黄金比とフィボナッチ数列を活用する — 数学的な裏付けで普遍的な美しさを担保
- 色に意味を持たせる — 色が伝えるメッセージを意識して配色
ロゴは「アート」ではなく「デザイン」です。 見た目の好みだけでなく、論理的な根拠を持って設計することで、長く愛されるロゴになると信じています。